ドラクエ2 ゲームブック 〜王女の呪い〜
「う”うぅ〜んん……」
クッキーは目を回してうなった。
「だ、大丈夫かよ、クッキー」
さすがのも心配げに振り返る。毒の沼地に漬かり過ぎたのだろうか。
階段までの道のりは、長い長い毒の沼地を越えていかなければならなかった。
見た目にはそれ程でもないと思ったのだが…
はっきり言って、でもキツイ。
クッキーは焦点の合わない目で笑った。
「う、うん…あははははははは、、、大丈夫、大丈夫〜」
…瘴気を吸い込みすぎたらしい。
▼
階段を下りると小さなフロアがあった。
まさかアレほど苦労してたどり着いたのに、何も無いのか……!?とが不安になったとき。
クッキーが部屋の隅を指差してへたり込んだ。
「うわわわわわ、〜っ!!アレ、アレ、アレ!」
ぼーーっ……と。
人影が座り込んでいた。
兵士の格好をしたその男は青白い顔を上げてこっちを見た。
「ぎゃぁ〜っ!!!」
クッキーの悲鳴があがった。
その身体は半分腐りかけているというのに、額からは血がだらだら流れている。何処までも青白い身体は透けて、後ろの壁が見えていた。
完っ璧な幽霊だった。
「ななな、なんだ、てめぇっ!!やんのかコラ!!」
は精一杯の虚勢を張って、腰の剣に手をかけた。
男はにや、と口の端をあげ、音も立てずに、すーーーっとの方へやって来る。
男の目は半分飛び出していた。
「うわああああっ!!!」
さすがのもクッキーと一緒になって叫んだ。
男は構わずに2人の前までやってきて、ぼそり、とこう言った。
「どうしても伝えたいことがある…。呪いの、沼地が、橋の、4つの、落ちてる…ラーの鏡が…解く…」
?????
はっきり言って何を言っているのか分からなかった。
男のほうも不思議そうに首をかしげる。自分の言葉がおかしい事には気づいたらしい。
しかしとクッキーには、男の頭から飛び出ている脳みその方が気になった。
男は再び口を開いた。
「とにかく。『hasi』だ。『hasi』が4つ見えるところにあるんだ」
それだけ言うと、男はスーッと姿を消した。
―なんだったんだ一体…!?
結局宝箱のひとつにもありつけず、苦労してやってきた地下では特に何も見つからなかった…。
2人は意気消沈して再び階段を登り始めた。
「こ、怖かったね〜」
「ばか言うなっ。俺は怖くねぇよ、お前だけだろっ」
「ええ〜っ」
クッキーは不満げに口を尖らせる……が、下手に口答えすると危険なので黙っておいた。
「まぁとにかくさっきの光の方へ行ってみようぜ」
「そうだね〜」
そうして階段の中盤に差し掛かった時。
突然さっきの男の顔が目の前に浮かんだ!!
「いいか!!『hasi』だ!!忘れんなよ!!!』
「うわあああっ!!」
2人はものすごいスピードで階段を駆け上がった。