ドラクエ2 ゲームブック 〜王女の呪い〜
2人はムーンブルク城へとやって来た。
「うわ…ひ、ひどいね〜」
クッキーは思わず立ち尽くし、口をぽかん、と開いて城を見上げた。

元はさぞや美しい城だったに違いない。
豪奢な造りのバルコニーは今や完全に崩れ落ちて、瓦礫の山をつくっている。
広い城下のあちこちに、踏みにじられて枯れた花壇の残骸。その代わりに瘴気で出来た、毒の沼地。
何よりも目に付くのが、戦ったあとも生々しい、壊れた武器と、血痕、骨…。

「うう〜…」

クッキーは青ざめてうなった。

は「ちっ」と、吐き捨てて、クッキーを振り返った。
「おい、行くぜ!」
「う、うん…だ、だけどさ、これじゃ、絶対、ぜ〜ったいプリン王女は、居ないと思うよ…」
余程城に入りたくないのか、クッキーは力を込めて言う。

「しょーがねーだろっ!手掛かりが他にあんのかよ!!!」
が苛立って叫ぶと、しぶしぶクッキーは歩き出した…。

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「く、暗いねぇ〜」
「…そうだな」

クッキーの声は弱々しい。
それも仕方ないのかもしれない。
想像以上に暗い城の中、至る所で瘴気を噴出す毒の沼地。そして、立ち込める腐敗臭…。
気の強いでさえも、もし一人で長時間いれば気が狂ってしまいそうだ。

こんなところに、プリン王女の手掛かりが、果たして残されているのだろうか…。

かすかな不安がよぎった時、2人の横で、人の気配がした。

「!!」

人影から漂ってくる、ただ事ではない激しい腐敗臭。
「うわぁ、何、なにぃ〜っ!?」
思わず口元を押さえるクッキー。は剣を握り締めた。
「おい構えろクッキー!モンスターだっ!!!」


『腐った死体』が現れた!

はとっさに叫んだ。
「ようし、俺が攻撃する!さがってろクッキー!
「おいクッキー!まずは呪文だ!『ギラ』ぶっ放せ!!