「ほら、ムーンペタに居た、あの犬!」
クッキーは嬉しそうに叫んだ。
「…ああ」
「僕らに、凄くついて来たそうにしてたじゃないか」
あの犬が王女だというのだろうか。
「ねぇ、きっとあの犬だよ〜!!」
クッキーは自信ありげに言った。
特に根拠がある訳では無い。ただの人懐っこい犬かもしれないのだが…。
も、きっとあの犬が王女だ…と、そんな気がしていた。
「よし、戻ってみるか!?」
が張り切っていうと、クッキーは首を横に振った。
「ううん、ただ戻っても駄目だよ!王女を元に戻さないと…」
「んじゃ、どうすんだよっ」
クッキーはにっこり笑って人差し指を立てた。
「ほら、さっき地下であった幽霊さん、きっとこの事を言ってたんだ!真実の姿を映す『ラーの鏡』。ぼく、聞いた事あるよ〜」
「…!」
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幽霊の言っていた事を何とかまとめて、2人は小さな沼地までたどり着いた。
しかしその沼地はやはり『毒の沼地』であった。
「…ちっ、本当にここに落ちてるんだろうな……落ちてなかったらコロス」
はぼやいたが、しかし幽霊は既に死んでいる。
「ねぇ…、ぼくさ…」
クッキーはの顔色を伺うようにちらちらと見上げた。
「…なんだよ」
「ぼく、もう、駄目かも…」
「あ?」
「沼地に入ったら、死んじゃうかも……」
クッキーは涙目で情けない声を上げた。
「……」
確かにクッキーの顔色は悪かった。
城の中でもきつかったが、ここまで来るのにも相当体力を消費している。
しかし、小さな小さな沼地だ。そんなにすぐ死ぬような事もないだろうと思うのだが…。
はさっさと沼地に片足を突っ込み、キッとクッキーを振り返って怒鳴った。
*「ふざけんなっ、来いよっ!! *「ちっ、足手まといは来るな!